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追悼 加藤薫先生 [代表から]

追悼 加藤薫先生

本研究会の会員である、加藤薫先生が去る4月22日に逝去されました。

加藤薫先生は、日本におけるメキシコ美術研究の草分けであり、ディエゴ・リベラと壁画運動を中心に、多くのご研究を公にされてきました。とりわけ2011年に刊行された大著『ディエゴ・リベラの生涯と壁画』(岩波書店)は、先生のお仕事の集大成といえるものであったと思います。

また加藤先生は、ラテンアメリカの美術を幅広く紹介するお仕事も数多く残されています。初期のご著書『ラテンアメリカ美術史』(1987年、現代企画室)は、類書の少ないわが国において、この分野を学ぶ人の貴重な道標となりました。その他、近年ではチカーノ・アートや、ニューメキシコ、キューバの美術についても旺盛な執筆活動を展開されていました。

先生はまた、多くの展覧会の企画にも携わられ、この分野の知識の普及にも力を尽くされました。教育者としては、神奈川大学で長く教鞭を執られ、学内外の若い学生たちに多くの刺激を与えてこられました。本研究会においても、たびたびご講演や研究発表をいただき、深く広いご見識を披露いただきました。

わたくし個人としては、かつてアンデスの調査にご同行いただいた際の、じつにエネルギッシュなお姿が、昨日のことのように思い出されます。これからまだまだご活躍になられるものと信じておりましたなか、突然のご訃報に接し、まことに愕然たる思いです。

ここに深く哀悼の意を表し、謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

        スペイン・ラテンアメリカ美術史研究会 代表 岡田裕成




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